理事長所信

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 はじめに

 我が国においては近年、2020年東京オリンピックの開催決定以降、首都圏では早々に景気が上向き、建設業を中心としたインフラ需要の拡大、投資市場における地価高昇と明白な経済効果をもたらしています。一方地方に目を向けると、地域創生のもと、独自の生き残りをかけた地方改革を各地域が各々の施策の中推し進めております。このことは我々の故郷である淡路島においても例外ではありません。一見、インバウンド拡大への取り組みや、雑誌、TVを中心とした多くのメディアによる発信により、観光分野においては見通し良く見えておりますが、細部に目を向けると、人口減少に伴う労働力の低下や高齢化、教育機関の縮小、地域コミュニティの崩壊などまちとしての根幹が疲弊しているのが現状です。しかしながら我々が住むこの淡路島は京阪神地区からの抜群のアクセス立地や四季折々の原風景が息づく風土、くにうみ神話を代表とした国が誇れる文化と、他の地域には無い圧倒的なポテンシャルを秘めた島であることは言うまでもありません。我々は今一度このすばらしい故郷を愛し、これからの未来を願い、アイデンティティを醸成することで魅力ある故郷を発展、発信する必要があります。
そして我々一般社団法人淡路青年会議所は「淡路はひとつ」の理念のもと、先輩諸兄が紡いでこられた淡路JCの志と伝統を継承し、昨年度、55年という節目を刻むことができました。我々はこれからも貫くべき理念を共有し、メンバーが一心に活動をしていかなければなりません。過去から受け継いできた志を継承し、次なる一歩へと進むべく、組織として、人として、そして何より地域に対して、新しい時代に向けたムーブメントを起こすことが何より求められているのではないでしょうか。

 淡路島のこれからを問う

 JC運動は、投げた石により起きた波紋が広がりを起こす活動をするべきであります。2020年の東京オリンピックへ向けて、首都圏だけではなく様々な地域が交流人口の獲得など地方改革へ向けて動き出しており、そのような状況下のなか、我々が住む淡路島においても特に観光分野でのインフラ整備、情報発信の機運が高まっております。しかしながら、2020年ですべてが終わってしまうわけではありません。地域がさらなる飛躍へ向けて、今こそ長期的なビジョンが必要であり、地域の主役である島民が今後の淡路島の方向性をどのように考えるか、また地域が持つ魅力をどのように発信するべきか、その羅針盤を示すことが私たち淡路JCに課せられた責務であります。そしてその波紋の広がりとは、淡路島民が自ら考え、自らが意思決定できる土壌を形成するべきであると考えます。我々淡路JCは先輩諸兄から脈々と受け継がれた揺るがない理念が存在します。「淡路はひとつ」その理念こそが淡路島のこれからを問うためには切り離すことのできない唯一の命題であります。我々は本年度、若き青年らしく大胆かつ果敢に、この理念を胸に淡路島の未来に明確な指針を打ち立て、淡路島のあるべき姿を示し、先駆的に行動してまいります。

 未来へ向けて

 人口減少はもとより、未来ある子どもたちの数も加速的な減少傾向にある淡路島においても、子どもたちはまちを明るくし活力を与える存在であり、何より未来の担い手であることは言うまでもありません。そんな淡路島の未来を担う子どもたちに家庭や学校、地域だけではできない体験をする機会を創り、また故郷への愛郷心を育むことも、我々に課せられた重要な責務であります。子どもたちの数が少なくなってきているからこそ、社会性や協調性を学び、信頼しあう心を育み、希薄になってきている地域との関係性をもう一度つなぎ直すことが必要なのではないでしょうか。そして、子どもたちが成長をした分だけ、未来の淡路島がより明るい地域へ向上できると確信しています。

 志の共有

 拡大なくして組織の発展はなし。20歳から40歳までの限られた時間の中で活動するため、常に人は入れ替わります。そして、会員数の減少は組織の衰退を招き、未来ある活動が難しくなります。近年の積極的な拡大活動の成果により、幾年ぶりかのメンバー数増加で本年度をスタートすることができました。しかしながらそれに伴い、入会年度の浅いメンバーが急増している中で、これからは「全員拡大」の意識醸成と入会年度の浅いメンバーに対してのボトムアップが必要となります。なぜなら、この組織でしか出会えない仲間とかけがえのない時間を共有し、互いが磨かれることこそが組織の魅力を形成し、新たに人を惹きつけるものになると確信しております。そのためには、魅力ある人財育成が何より必要となり、継続的に行わなければならない責務であると考えます。故郷である淡路島を想い、その発展を願う会員がそれぞれの強みを生かし、魅力ある活動をすることが組織の発展へ繋がります。そして、新たに入会したメンバーがJayceeとして、また地域の次代を担う者としての品格を持ち、魅力あるリーダーへと成長することで、組織は更なる発展を遂げ、ひいてはその根幹である我々の活動が、より大きく波及すると考えます。

 想いの共有

 人は人によって磨かれるものであります。青年会議所は、地域を共有し、その地域へ想いを馳せる同志と共に活動を行っています。しかしながら、組織であるが故に役割に遵守することにのみ注力し、組織としての想いを共有できないきらいがあります。役割というミッションを完遂させるためには、個々が縦のラインだけでなく横連携、つまりはつながりが必要不可欠であり、何よりそのつながりが強固となることこそが自己の成長だけではなく組織の成長へとつながるはずです。そして組織を活性化させるためには様々な連携を通じ、想いを共有し、目的を共有することにあります。個々が積極的に関りを持ち、役割に縛られないマルチタスクな組織活動を行っていくことで関係をより強固なものとし、あらゆる局面を共に乗り越えていきましょう。

 場の共有

 一般社団法人淡路青年会議所は様々なメンバーが集まっている組織です。メンバーにより職種は違い、環境が違い、考え方も違い、使える時間も違います。それでも、淡路島に対する想いや情熱は同じあり、そのことを再確認し、議論できる場が例会です。だからこそ、月に一度集まり、全メンバーが時間と空間を共有することが、JC活動の原動力へと繋がり、淡路JCの志を共有できるようになります。全メンバーが有意義な時間となり、個人個人の能力が向上できるよう企画、設営、運営に各委員会が臨み、年間を通した関連性とメンバーが主体的に参加できる空間づくりが必要であると考えます。

 「明るい豊かな淡路島」を実現するために

 グローバル組織である青年会議所は、世界中でその活動が行われています。そして、「奉仕」「友情」「修練」は先輩諸兄から受け継がれたかけがえのない価値観として共有しなければなりません。この三信条は、一般社団法人淡路青年会議所の揺るぎない価値であります。飽きるまで議論を交わし、涙がでるほどの活動を行い、これ以上ないほど自分を磨きましょう。そうすることで、JC活動をする価値が初めて生まれてきます。そして、淡路JCには議論を行うべく議題は山のようにあり、夢中になれる活動は一年中行っております。そしてなにより自分を磨くための同志はすぐ隣にいます。JC活動は単年度制です。この2018年度に見ることのできる景色は、二度と同じものを見ることはできません。今年度、これ以上ない活動を共に行い、共有し、自分たちの経験にしていきましょう。1年間は走り抜ければ瞬く間に過ぎてしまいます。悔いなく全力で駆け抜け、その瞬間生まれるインスピレーションを具現化し、またとない一瞬を自分だけの足跡として刻みましょう。その積み重ねこそが明日の「明るい豊かな淡路島」の実現へと繋がると信じて。